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和菓子と歳時記 12ヵ月

四季折々に変化する豊かな風情は、日本の大きな魅力のひとつです。
古より日本人は、うつろいゆく季節を愛でるさまざまな行事を催してきました。
そしてその都度、趣向を凝らした美しい和菓子がつくられ、行事に彩りをそえています。
日本の12ヵ月の歳時記を、和菓子とともにご紹介いたします。

春の歳時記

ひなあられ
ひなあられ
3月「雛祭り」

雛人形を飾って、女の子の健やかな成長を祈る「雛祭り」は、 桃の花が咲く季節であることから、桃の節供とも呼ばれます。
3月3日の節供(上巳の節供)と、女の子のひな遊びのままごとが結びつき、 行事へと変化して現在の形になったそうです。
雛祭りのお菓子といえば、ひなあられや菱餅。 赤、白、緑で彩られるお菓子は、この時季ならではの花、雪、草木を表すとも言われ、それぞれの色には、魔除け、清浄、健康への願いが込められています。

桜餅(道明寺)
桜餅(道明寺)
4月「お花見」

お花見の歴史は、古く平安時代まで遡ります。貴族たちは山桜を邸内に植え、その下で優雅に舞いや歌を楽しんでいたそうです。
今も昔も、日本人のお花見好きは変わりません。
その後時代を下るにつれ、山桜はいつしかソメイヨシノへと変わりましたが、一般に広く浸透して現在のような行事になりました。
桜の様子をうつして多くのお菓子がつくられますが、代表的なものである桜餅は、関東と関西では大きく形が異なり、それぞれ「長命寺」「道明寺」と呼ばれます。

柏餅とちまき
柏餅とちまき
5月「端午の節供」

5月5日は、端午の節供。こどもの日として祝日にもなっています。 “武を尚ぶ”「尚武(しょうぶ)」に通じる菖蒲や、 武者をかたどった五月人形、立身出世を祈る鯉のぼりを飾り、 男の子の健康と成長を願います。 この日には、魔除けのちまきや柏餅を食べる風習があります。 「端午の節供」自体は、中国の古い習慣に由来しますが、柏餅は 日本独自の風習であり、新しい葉が出るまで古い葉が落ちないことから 「家系が絶えない」に通じると、喜ばれました。

夏の歳時記

若 鮎
若 鮎
6月「若鮎」

清流に、若々しい鮎の泳ぐ姿が見られるようになる季節です。
鮎釣りが解禁となるのも、この頃。鮎の涼しげな様子は、和菓子の世界でも、夏に好まれる素材です。
鮎をうつしたお菓子「若鮎」は、この時季の風物詩。清流が少なくなった現代では、実際に鮎の姿を見るよりも、このお菓子が季節を知らせると言ってもよいかも知れません。

七夕祭りわらび餅
七夕祭りわらび餅
7月「七夕」

7月7日は、織姫と彦星の恋物語で知られる七夕です。
これは3月3日の上巳、5月5日の端午と同様に、五節供のひとつでもあります。
七夕は、日本だけでなく、中国、韓国、ベトナムまで広く伝わる風習で、日本には奈良時代に中国から伝わり、発展したと言われています。色とりどりの短冊に願いごとを書き、笹に結びつけますが、その様子はとても涼しげで、暑い夏の清涼剤とも言えるでしょう。
星々や短冊にちなんだ、遊び心あるお菓子も多く見られます。

金 魚
金 魚
8月「立秋」

暦の上で秋を迎える「立秋」は、例年、暑さの盛りともいえる8月7~8日に訪れます。
これは「立秋」の日が、昼が最も長い「夏至」と、昼と夜の長さが同じになる「秋分の日」のちょうど中間と決まっているため。実際の気候とは、隔たりがあるのです。
この時季、暑さしのぎに好まれるのは、目も舌も涼やかに楽しませてくれる「水もの菓子」です。
透明なゼリーに色とりどりのようかんでつくった動植物を泳がせたお菓子などは、贈り物にも喜ばれます。

秋の歳時記

月見団子
月見団子
9月「お月見」

旧暦8月15日は「中秋の名月」「十五夜」と呼ばれ、一年で一番、月が美しいと言われる日です。もともとは中国の宮廷行事だったと言われ、日本には平安時代に伝わりました。
里芋の収穫の頃であったことから、「芋名月」とも呼ばれます。
月見団子の形は地方によって違いがあり、関東では積み重ねる、京都では餡でくるむ…など、地域性が色濃く出ます。
地域の特色を知るのも、また楽しいことです。

津弥栗
津弥栗
栗きんとん
栗きんとん
10月「栗名月」

10月は、「栗名月」とも呼ばれる十三夜があるように、栗、芋、梨など秋の恵みの収穫シーズン。 ほっこりおいしい旬を堪能する「味覚狩り」も秋の大きな楽しみです。
和菓子の世界でも、この時季は旬をふんだんにいかしたお菓子が続々と登場する、実りの季節。
栗や芋がさまざまに形を変え、色とりどりに店頭に並びます。

千歳飴
千歳飴
11月「七五三」

11月15日、男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳の年に、神社や寺にお参りし、成長を祝います。
子どもたちは晴れ着を着て、女の子はお化粧などで装います。
健やかな成長を喜ぶとともに、これからの守護を願います。
子どもの手にもたせる「千歳飴」は、紅白に彩られた縁起の良いお菓子です。“長く伸びる”と、親が子を想う長寿の願いを込められています。

冬の歳時記

賚 果
賚 果
とこよ
とこよ
12月「冬至」

1年のうちで、夜の時間が最も長くなる日です。
この日は、ゆず湯に入ると風邪をひかないと言われたり、「難」を「禁」ずるにも通じることから南瓜を食べるとよい、とも言われます。
いずれも、冬の寒い時季に不足しがちな栄養をしっかりとり養生することが大切だという、先人の知恵が受け継がれたのかもしれません。

干支菓子
お正月菓子
1月「お正月」

晴れやかな新年の始まりを祝うお正月。 お正月は、日本の行事の中でも、最も古くから存在すると言われています。
干支にちなんだ「干支菓子」や、新年の宮中行事である年始の和歌の会「歌会始」のお題にちなんだお菓子をつくり、新年を寿ぎます。
色とりどりの美しいお菓子は、新しい1年の幸福を予感させるかのようです。

清寿梅
清寿梅
2月「節分」

立春の前日「節分」は、「節(せち)分かれ」とも言い、季節の変わり目を意味しています。
豆をまき、鬼(邪気)を追い払うこの行事は、古く平安時代の宮中行事が由来とも言われ、いり豆は「射る」と「魔」を「滅する」(まめ)に通じるとされています。この頃、鬼と対になるお多福や、豆にちなんだお菓子が並びます。
また、関西を中心に歳神様がやってくる恵方に向かって、無言で太巻きを食べるという行事も行われています。
梅が咲き始める頃でもあり、梅の香りが春の訪れを告げます。

その他

牡丹餅/お萩
牡丹餅/お萩
お彼岸(3月、9月)

春分の日と秋分の日は1年に2度、昼と夜の長さが同じになる日です。
この日をはさんで7日間をお彼岸といい、ご先祖様をお祀りし、感謝を捧げ供養する行事を行います。
お供えに用いられる粒あん餅は、春は「牡丹餅」、秋は「お萩」と呼ばれます。これは、形や材料が変わるのではなく、季節の花に見立てて名前だけが変わっているのです。

紅白まんじゅう
紅白まんじゅう
祝いごと(通年)

結婚や誕生、卒業式など、おめでたい晴れの日に欠かせないお菓子が、紅白まんじゅうです。
まんじゅうを日本で古来よりおめでたい色とされてきた紅と白に染め分けたもので、中には餡が詰まっています。 慶事に伝統的に用いられてきたため、このおまんじゅうを見ると、どことなく喜ばしい気がするものです。 お世話になった方に配り、これからの変わらぬお付き合いをお願いします。