「鉄線蒔絵双六(てっせんまきえすごろく)」2023年04月18日

姫君のお道具と髪飾り展

岡山・吉兆庵美術館にて開催中の「姫君のお道具と髪飾り展」では、大名家の姫君の婚礼調度や、江戸時代から昭和初期にかけて女性たちを彩った髪飾りなどを展示しています。
今回の「美術館のピックアップ情報」では、その中でも「鉄線蒔絵双六(てっせんまきえすごろく)」をご紹介いたします。

「鉄線蒔絵双六(てっせんまきえすごろく)」


 双六は将棋と同じくインドに起源をもつ遊戯具で、日本や中国に伝わると「双六(双陸)」と呼ばれるようになりました。振った賽の目の数によって持ち石を進めるという単純なルールで、古くは上流階級の婦女子にもたしなまれています。碁盤、将棋盤、双六盤の三つは「三面」と呼ばれており、この三種類の遊戯道具も花嫁道具として用いられていました。

 一方で双六は賭博性が強く、度々禁止令が出されています。特に、江戸時代に入ると賭け事の対象となり幕府が禁止令を発令。双六は次第に廃れていくことになりました。双六に熱狂する人々の様子は「万葉集」や「枕草子」、「源氏物語」などに記されています。
 当館所蔵の「鉄線蒔絵双六」は、江戸時代中期~後期のものであると考えられており、木地のままの上面、鹿角を使用した区分け線、側面に施された美しい鉄線蒔絵などが特徴的です。

岡山・吉兆庵美術館にて開催中「姫君のお道具と髪飾り展」

さらに本展では、「ガラス玉かんざし」や「蝶に金銀珊瑚飾りびらびらかんざし」などの美しいかんざしを多数展示しております。
この機会に是非ご覧ください。

岡山・吉兆庵美術館(岡山市北区幸町7-28)
企画展:「姫君のお道具と髪飾り展」
会期:令和5年4月14日(金)~7月17日(月)